2020年9月15日火曜日

旧友を思い出させた荷物

 まるっきりの私事ですが・・・。コロナであんまりでかけなくなって何でもネット通販で買うようになった。ネットで目についた便利グッズも、これまでなら店舗に探しに行っていたが、そのままポチるようになった。

 その中には外国製品もあり、詐欺じゃないよねと思いながら、何度か買った。届くのに若干時間がかかるが、私が何より驚いたのが、その梱包。便利グッズの類だからそうなのかもしれないが、どれも梱包がスゴイのだ。破れてるとか、汚れているとかではなく、きちんと包まれているのだが、適当にきちんと包んでいるというか、多分私が自分で荷造りをしてももっときれいに包むだろうなと思うような包み方なのだ。最初は「この会社はそうなんだ」と思い、次には「ここもそうなのだ」と思い、次には「え?これも?」という感じ。もしかしたら、航空便というものがあまねくそうなのかもしれないが、その梱包に大分前に亡くなった友人を思い出した。


 彼は男性よりも、私たち女性陣と仲がよかった。よく一緒に旅行もした。後には彼の妻もその旅行に参加するようになった。彼の妻が亡くなり、彼も亡くなり、メンバーの夫が体を壊し出かけられなくなり・・・私たちの旅行は何年もないままである。彼が亡くなる前年には、高齢者福祉だよ、と言いながら彼の住む地域に出かけ、車椅子の彼を町に連れ出し、食事をした。

 その彼の作る荷物が本当にすごかったのだ。初めて見たときには「何かあったのか」と思ってしまったくらいにすごかった。ガムテープは四隅と真ん中に貼るものと思っていたが、彼が貼るガムテープは縦横無尽。何でそうなるのかわからないが、段ボール箱の角はいつも潰れて、四角の段ボール箱は、変則台形だったり、丸とは言わないが、変則複数角形だったり、いつも不思議な形をしていた。あて名書きはガムテープをよけて、これまた自由自在。上面から側面にかけて書かれていたり、箱の上に白い紙を貼り付けて(これがまた曲がって貼られている)、その上に書かれていたりで、後には見ただけで、彼からの荷物だとわかるようになった。 
                          

今回届いたアメリカからの荷物の梱包を見て、彼からの荷物とまでは思わなかったが、彼のことを思い出した。あて名書きが曲って貼り付けられ、ビニールテープが不規則にあちこちに貼られている。それでいながら、荷物全体にビニールテープが巻きつけられている。四角の箱の角は何となく潰れている。妙に懐かしい気持ちになった。恐ろしく不器用でいながら博識、いつも何事にも一生懸命、人間関係が全くと言っていいほどうまくいかなかった彼は今天国でどうしているだろう。生きていた時と同じように、妻さんにブツブツ文句を言っているのだろうか。停止したままの旅行。残りのメンバーが生きているうちにもう一度集まっておいた方がいいかもしれないという気持ちにさせられた個性的な装いの荷物たちだった。(PON子)